曲が終わると、周りからパラパラと拍手が起こって、俺も慌てて拍手をした。

ボーカルの子は、足元においてあったペットボトルの水を取ると、のどに流し込んだ。俺はその、かすかに動くのどを見ていた。
気がつくと、目の前に小さな女の子がいたから、俺は相当驚いた。

「ありがとうございますっ! コレ、私たちのホームページなんで、ぜひ遊びに来てくださいねっ!」

それはキーボードの女の子だった。
俺を上目遣いに見て、縣と俺に一枚ずつ、チラシを渡す。
そしてすぐにまた隣へ移動し、周りの出来る限りの人たちに、チラシを配っていた。

そうか、インディーズのアーティストって、こういう地道な努力もあって、知名度を獲得していくんだな。俺はそう悟った。

渡されたチラシには、確かにホームページアドレスのようなものと、そして大きく彼女たち三人の写真。


『リーフ』というグループ名も書かれていた。


縣はちょっと迷惑そうに、乱暴にチラシを折りたたんでポケットに突っ込んだけど、俺は丁寧にかばんにしまった。