星の数の恋よりも月と同じくらいの恋




近くにあったベンチの正面に車椅子を
止めるとお父さんとお母さんは
わたしの目の前に座った



「それで、隠してるのはなんのこと?」

「…驚かないで聞いて欲しい…」



お父さんは辛そうに顔を歪めて
目を空にむけた…



「“驚かないで”って…なに…?
まさか離婚…?」

「はぁ!?離婚なわけないだろ!!!
乙香のことだ」

「冗談よ、って、乙香がなに!?
どうしたのよ!!」



興奮が治まらないお母さんを見て、
お父さんが“母さんには内緒で”の
意味が解った気がした





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