返事する気にもならなかった。

「誰から?」

隆也は携帯を取り、その一行を読み終えると、ピッピッと何かを打って送信してしまった。

「隆也、何で勝手に!」

送信した内容を読んでみる。

『俺が彼氏で悪いのか?!近づくな!』

本当の彼氏じゃないけど、ちょっと嬉しい…
いや、かなり嬉しかった。

「ところで…どうして、こんな事になったんだ?」

隆也が3本目のビールを飲みながら聞いた。

隆也って酔ってくると説教くさくなるんだよなぁ…
そこが面倒くさいんだけど…

携帯を持つアタシの手を急に握って

「お前のこの爪…ヒデェな」

「ネイルアートよ。知らないの?」

「知ってるけど、ここまでは酷い。さっきのチャラ男と大差ねぇよ」

ムッとした。
この可愛いさが分からないなんて…
だから彼女が出来ないんだよ!

タバコを吸おうと箱を開けると、最後の1本だった。

「タバコ買いたいんだけど、さっきのコンビニまで戻らなきゃダメ?」

これ吸えないか?
そう言って隆也がテーブルの上に、タバコをポンッと置いた。

「ごめん隆也。コレ軽すぎて…やっぱり買いに行く」

「俺が行くから、待ってろ」

そう言って出ていった。


アタシのタバコの銘柄は、隆也が吸っているのと同じだ。

隆也が吸ってるのと同じ物に変えたのだ。

最初はキツくて、1本吸い終わる頃には頭がクラクラしていた。

今ではコレ以外に吸いたいと思わないが、いつの間にか変えていたようだ。

ショックというより、どうして変えたのか気になった。


さすがにビール5本は酔いが回ってきたかな…
一気に眠くなってきた…

左側のドアを開けると、そこは寝室だった。

『もう…限界…』

そのままベッドに倒れ込んだ。