言葉にならなかった。
アタシが好きになった人は、本当にここにいる隆也なの?

アタシが知ってる隆也は"セフレ"とか嫌いだし、白黒ハッキリする人だったはず。

『抱き締めて欲しかったんでしょ?俺に』

自信家な部分は変わらないけど…

「どうした?梓?」

多分アタシは、固い表情になっていたんだと思う。
どうしたと言われても、何て答えたらいいのか分からない。

お互い会わない間に変わってしまったんだね。

昔の隆也は…
アタシが覚えてる隆也は、もういないんだ…

アタシがサイト遊びしてたのを知って、軽い女と思ったのかもしれない。

でもアタシは、本当に好きになった人とじゃなきゃ許さない。
別れた人となんて…あり得ない!

「なぁ…どうしたんだよ?」

隆也がソファーから立ち上がった。

「何が?」

知らず知らず、アタシの体に力が入る。

「俺、梓を怒らせるような事言ったか?」

「いや、言ってないんじゃない?」

笑いながら隆也が近付いてきた。

「そうだよな…それに梓は俺の事、好きなんだもんなァ」

だんだん隆也の顔が近くなる。
この自信家の所が憎らしい!

両手で隆也の顔を挟むように、両頬をパシッと叩いた。

「イテッ!叩く事ねぇだろ?!」

「いきなり顔近付けるアンタが悪いのよ」

笑いながら言った。

「あーぁ」

隆也は叩かれた頬を撫でながら、ソファーに座った。