隆也は黙ったまま、アタシを見ていた。

いくら掃除が好きな隆也でも、あそこまで整ってるのは変だし、何より隆也自身が吸わない銘柄のタバコを持っていたことがおかしい。

隆也はタバコに火を点け、一呼吸おいてから口を開いた。

「あれなぁ、元カノなんだ。3ヶ月くらい一緒に暮らしてた。でも別れた」

ああ…やっぱり…

「別れてからも会ってる。この前みたく遊びに来る事もある」

「それだけ?」

本当は聞きたくない。
でも聞かずにはいられなかった。

「SEXか?それもするよ。元カノが求めてくるし、俺だってヤリたくなるから」

聞いた瞬間、隆也への想いが、みるみる冷めていくのが分かった。

「お互い何となく、お互いに干渉されない時間が欲しくて、同棲解消と同時に別れたんだ。嫌いになって別れたんじゃない。今はセフレみたいな関係だな。とにかく彼女じゃない」

サラッと言う隆也に愕然とした。
アンタも、あの"チャラ男たち"と大差ないじゃん!

「別れた彼女に求められたからって…断ろうとか思わないの?!」

「言ったじゃん。嫌いになって別れたんじゃないって」

「じゃ…さっきアタシを抱き締めたのは?」

「抱き締めたかっただけ。梓だって抱き締めて欲しかっただろ?俺に」