鍵を開けてもらうと、助手席の小物入れに入れたままのピアスを取り出した。

「もういいよ。忘れ物取ったから」

部屋に戻り冷蔵庫からビールを出した。

「梓…俺なんか悪い事したか?」

「いや、アタシの方が隆也に迷惑かけた。でも、もういいから」

寝室に行き、さっき車から取った片方だけのピアスと、小箱に入った、もう片方のピアスを出し、ゴミ箱に捨てた。

「どうしたんだよ…来ない方が良かったのか?」

「隆也が来てくれたから、忘れ物を取れた。迷惑かけて悪かったね。ただの幼馴染みに2日連続で付き合わせてさ」

「梓…」

気まずい空気が流れた。

「俺…帰るわ…」

「うん。遅い時間に悪かったね…」

「別にいい…じゃあな」

アタシと目を合わす事なく、隆也は出ていった。

エンジンをかけたと同時に、けたたましく鳴ったタイヤ音とマフラー音が、夜中に鳴り響き、消えていった。

リムーバーをコットンにとり、ネイルアートを取った。
爪が傷もうと構わなかった。

ネイルアートを見れば、昨日と今日の事を思い出してしまう。

あんなに可愛いと思っていたのに、一瞬で大嫌いになった。