胸がズキッと痛んだ。

『俺たちは幼馴染み』

そうだよ、その通りだよ。

でも今は聞きたくなかった…
間違いないけど、聞きたくなかった。

「"女の子の部屋"には見えねぇよな。ピンクとか、レースとか…こぅ"フワフワ~"って感じの物が一切ないもんな」

ソファーに座り、タバコを吸いながら、隆也が辺りを見回して言った。

誰と比べてるの?
隆也の元カノ?
それとも、今の彼女?

ここはアタシの部屋よ!
どこに何を置こうが、何の色であろうが、隆也には関係無い!

アナタが言うように、単なる『幼馴染み』なんだから!

「隆也…アタシは大丈夫だから帰ってよ」

「は?」

「だから、大丈夫だって!わざわざ来てくれて、ありがとう」

「急に何言ってんだよ?」

リビング以外の部屋の電気を全て消した。

「そんなに電気付けたままで、何が大丈夫だよ。本当はビビってたんだろ?」

ニヤニヤしながら言う隆也を、本気でウザく思った。

「隆也の車に忘れ物してるから、取りに行かせて」

何を忘れたんだ?
そう聞かれたけど答えなかった。