「遠回りして家に向かうからな」

そういって、アタシの頭をポンポンと叩き、ニコッと笑った。

「ごめんね…」

「気にするなって」

どれくらい走ったんだろう…

見慣れた景色が、だんだん夕焼け色に染まってきた。

「ここを左に曲がれば家だよな?」

アタシは、チャラ男が近くにいるような気がして、周りをキョロキョロ見ていた。

「どうした?」

「さっきのメールが気になって…」

「大丈夫だって!」

二階建てのアパートの一階右側がアタシの部屋だ。

「隆也、本当にありがとう。帰り気を付けてね」

「大丈夫なのか?」

「うん、大丈夫」

「じゃ…戸締まりしろよ」

隆也は手を振って行ってしまった。

本当は一緒にいて欲しかった。

『行かないで』って言いそうになって、止めてしまった。

何もかもが嫌になった。

素直になれない自分も。

そして…
あんなに気に入っていたネイルアートも…