指は握られているが…… 中指と薬指の2本を握られている。


まおと向き合うように横になった。


「早く寝ろよ」


「うん、寝る」


…… 何度、この会話を繰り返しただろうか。

まおの瞳は閉じることなく、何か…… 俺に言いたい視線が伝わって来る。


その理由が分かるんだけど……。


「ほら、寝ろよ」


「うん……」


ちょっと、困ったまおが見たくてこんなことを言ってしまう。


本当は聞いて欲しいんだろうな……。


「愛川がいないのが寂しいのか?」


「んー…… そんなわけじゃない」


俺の胸に擦り寄ってきた。

小さな背中を優しく叩く。


「ちょっと、ね。 最近、優ちゃんと過ごす時間が少ないなーって」


「陽太、バスケ部の練習試合が近いって言っていたからな」