均一に乾いた髪が、俺の手からこぼれ落ちる。


「…… よしっ、いいだろう」


「ありがとう!」


俺の手からドライヤーを抜き取った。


「はい、座って」


そう言って、自分がさっきまで座っていたとこを指差した。


「今度はあたしが髪を乾かしてあげる」


満面の笑みを浮かべているのはわかったが……。


まおにやってもらうのは…… なぜか、気に入らない。


「俺はいいって」


「だーめっ、やりたいの」


ただやりたいだけかよッッ!


「うおっ!」


腕を引かれ、まおが座っていた場所に…… 俺が座らされた。


鏡越しのまおは終始、笑顔を絶やさない。


そんなに俺の髪が乾かせることが嬉しいのか?

普段、まおが泊まりに来たって俺がやってもらう機会は今まで無かったわけだから……。


「まぁ、いいか」


「…… ん、なにか言った?」


「いやっ、なにも」


こんな夜も、たまには悪くない。