ケータイで時計を確認する。
ヤバいな……。 そろそろ次に移動しないと、全部は回りきれないだろうな。
「まおっ」
「ん、なに?」
「移動するぞ」
「はーいっ」
まおより少し前を歩いてドアを抜けた、ら―――。
「――― !」
左手に温かい…… 小さな手が重なった。
つい、左手に目を向けてしまう。
「……」
「どうしたの?」
「あっ、いや…… なんでもない」
今まで…… 何度もまおと手を繋いできたが、こんな自然に繋いできたことがあったか?
普段は俺から手を伸ばす。
でも、今回は…… まおから何も言わずに手を繋いできた。
バレンタイン…… だしな。
――― キュッ。
離れないように―――。
離さないように―――。
強く握った。



