「じゃーんっ」


愛川が俺らの前にとあるチケットを差し出した。


「優ちゃん、それ…… なに?」


小さく首を傾げてまおが聞く。


「あのねっ! この間、桐谷とデートしてたら福引きやっていてね、まぁさっ…… 福引きってやりたくなるじゃん?」


やりたくなることはない。


「それで、やってみたらさ……」


先が見えた。


「ペアチケットが当たっちゃいましたー!」


…… やっぱりか、だと思った。


「で…… 愛川は“それ”の自慢か?」


「もー、前田くんっていっつも冷めているんだから! あたしが“幼なじみ”の二人に自慢なんてするわけないじゃんっ!」


悪かったな、俺とまおが“幼なじみ”で!

俺らの中では“恋人”が全てではないって結論に行き着いた。

時期が来たら“恋人”になり、タイミングを逃したら“幼なじみ”

でも、今は……。


「幼なじみだっていいだろーがっ」


この関係が心地好い。