そしてあの事故。


体育祭の二人三脚の練習中に、愛美が石につまづいてこけそうになった。


俺は反射的に愛美がこけそうになるところに気付いて、腕を掴んだ。



…ものの体制が崩れてしまった。



気付いた時には、愛美の体の上に倒れていた。


顔を上げた時に、愛美との顔の距離が数㎜しか離れていなかった。


思わず無言で愛美と見つめ合っていた。



「ちょちょっと、重い」



愛美が慌てて俺の肩を両手で押した。


すぐさま愛美から離れた。



「…わりぃ」



思わず勢いで俺はキスしてしまいそうになった。




でも俺は10年前、思いを伝える前に愛美に振られたかのようにオーストラリアへ行ってしまった。



俺はあの頃からの気持ちは変わっていない。


愛美は俺のことを男友達、又は親友としか思っていないだろう。