靴箱に手を伸ばすと、何かが入っていた
手にすると手紙のような物だった
手紙の裏を向けると贈り主は書かれていなかった
その時、宮坂も靴箱へやって来た
宮坂は俺が右手に持っていた手紙を目にすると
「何それ、もしかしてラブレター?」
ニヤニヤしながら俺を見る宮坂に
「何でもない」
その場で読もうと思っていた手紙を、ポケットに突っ込んだ
そんな俺に宮坂は
「私は誠実で優しい佐野が好きだったな…」
宮坂は俺を見つめて笑いながら靴箱から出て行った
さりげない宮坂からの告白に、一歩も足が出なかった
一度たりとも宮坂のことを好きだとか、そんな風には意識したことがなかった
宮坂とはそれ以来話す機会もなく、高校へ進んだ
入学式の日に宮坂が体育館の前で靴を掃き代えている姿を目撃した
「あいつも一緒なのか…」



