「そういえばさ、俺がバスケしてるところ見たことあったっけ?」
「一度だけあるよ。確か…、あの時はこの体育館で北高の荒川君との対戦中だったかな?」
「それって夏休みだったよな?」
「うん、そうだけど?でも試合は少ししか見てないけど」
あの時、大樹は私に気付いてたんだ
こっそりと見てたつもりだったのに…
大樹に背を向けて歩いてステージに戻っていたら
トントントントン…
突然ボールが床に落ちる音が体育館に響きだした
大樹は歩いて私の背後から腕を首の下に絡ませて抱き着いてきた
「え…どうしたの?」
何も言わずにただ私に抱き着いている大樹
こんな大樹の様子は見たことがない
おどおどしていると、大樹が口を開いた
「あの時’もしかして‘と思って体育館から追い掛けたんだよ。でももう姿が見えなかった」
大樹が私に話しているその声がいつもより低く感じて切なそうで…
「まさか追い掛けて来てくれてたの?」
「ずっと愛美が日本に帰って来るのを待ってたんだ。しかも体育館の外から見てたのが、愛美だったなんてな!ビックリだよ」
こんなことが起こってもいいのだろうか
大樹の温かい体温が背中から伝わってくる
私の首に回している大樹の腕を両手で掴んだ



