嘘のさよなら


すがるような目で
俺を見てくる香奈に
空っぽの気持ちの
言葉を掛ける。

「香奈、別れて?」

冷たい声でお前を
突き放すから、
勝手な俺だと思って
それで俺の事なんか
嫌いになってくれ。

「涼ちゃ…」

香奈の大きな目から
涙が溢れだす。

だけどそれを俺は
拭う事ができない。

「ごめん、
けど、決めたから。」

それだけ言って
扉を閉めようとした。

「…私がこんなに
ドジで迷惑かけるから?」

扉を閉めようとした
俺の手を抑えて
泣きながら言う。

「……そうだね。」

「私が、
すぐに泣く…から?」

「…うん。」

「私の事…
嫌いになった?」

「……うん。」