私は楠原くんと授業の被る 国語の現代文の時間を待って、 彼に声を掛けた。 休憩時間に入ったのを見計らって、 彼の元へ近寄る。 「ねぇ。〇〇〇〇って子、知ってる?」 それまで呑気に 伸びなどしていた楠原くんが、 ピタリと止まった。 数秒経って、 「は?」という声だけ返ってくる。 「〇〇〇〇って子、知ってる?」 私は同じように繰り返す。