優心論













一方、生徒会では、


いつの間にやら私のニックネームが


出来上がっていた。






名字の『岡崎』から『岡』と、


名前の『みゆき』から『ゆき』をとって、


『岡ゆき』。






私は本来の名前以上に、


『岡ゆきさん』と呼ばれることが


多くなってしまった。






それもこれも、


こんなニックネームを考えた


『生徒会の仲間』と紹介した


男子のせいだ。















名前は『松浦』と言った。



明るくて面白くて、


お調子者なんだけれど、


バカなだけじゃない。



弄られてもめげなくて、


松浦っていう、


自分の道を歩んでるヤツだった。






私は時々そんな松浦を羨ましくなる。






自分をしっかり持ってて、


自然と人を引き寄せる魅力があるから。



それも、松浦の優しさあってのものだと


わかっているからこそ、


羨ましくなった。










でもその気持ちは、


好きとか嫌いとか言う感情とは


違っていた。













一人だけに送る、


特別な『好き』ではなかった。