優心論










同時期に入った生徒会の仲間の男子。



その友達から急に声を掛けられた。





「あ、四天王の一人だ〜」





その声は何処かわざとらしく、


かといって嫌みではない響きがあった。



私は軽い笑みで対応しながら





「四天王って何だよ」





って冗談っぽく返した。










男子は顔色一つと言っていいほど


表情を変えずに、





「生徒会、1年で入ったのって

4人なんでしょ?

しかも生徒たちの上に君臨してるから、

四天王♪」





そうやって楽しげに持論を語る彼は、


多分こうして


何かを語るのが好きなのだろう。


名前は確か、河村と言った。



生徒会の仲間が、


そう呼んだのを聞いた覚えがある。





「ねぇ、なんかヒマ。

なんかお題出して。

俺ら勝手に語るから」





明らかに不機嫌そうな顔を浮かべて、

河村が私に言う。



急な提案に思わず声が漏れた。



『俺ら』と言うからには、


恐らく後ろの彼と語るのだろう。



後ろにいた彼も驚いたように


笑いを零した。





「は?え、商店街行くんじゃねかったん」





少しだけオーバーな


リアクションをしながら、


後ろの彼が声を挙げる。





「いいじゃん、少し語ろうよ♪」





相変わらずの調子で河村が返すと、


諦めたか呆れたか、小さく笑いを漏らして





「まぁ別にいいけど…ヒマだし」





と、彼は返した。













それが、彼との出会い。



彼は忘れた、私との出会いだった。