始発電車の発車ベルの音、丸の内のビルにも明かりが灯り始める。
これが大都会「Tokyo」の変わらない朝の光景。
人々は通勤・通学電車で吸い込まれ、夜になれば吐き出される。
この大都会は人間のように毎日呼吸をする。
世田谷区の住宅街に住むミツルもまた、いつものように朝を迎えていた。
きちんと整頓された部屋。陽の光で色あせたカーテンからは朝日が差し込んでいる。
6:30
目覚まし時計のカン高い音が部屋じゅうに響くが、全く起きない。
6:35
「ミツル〜、、早く起きなさい！学校に遅刻するわよ！！」
「・・・」
時計よりもカン高い母親の声でミツルは目覚める。
6:40
若干の眠気を感じつつ、階段下の洗面台で顔を洗う。そのままリビングに直行、おもむろに、朝食に手をつける。
ちなみに、ミツルの家の朝食は２パターンしかない。
母親がスーパーの安売りで買ってきた、コーンフレークかトースト。
たまにミツルと父親の飽きを解消する為に目玉焼きがテーブルに並ぶが、これは月１のペースでめったにない。
ミツルはこの超手抜き料理に「不満」や「怒り」を覚えた事はなかったが、となりの父親の顔を見るとそうはいかなくなる。