その夜、珍しく吉本からメールが来た。吉本とは話すけど、メールはよっぽどじゃないとしない。メールだとどうも話が続かないのだ。

『原因はなんだぁ?』

『だから無いって』

『嘘だな。俺は騙されないよ』

『だから、何度も言うけど無いって!!』
朋美は返信すると、由紀から借りた漫画を読み始めた。
プルル。しばらくすると電話の着信音が鳴った。画面を見ると、吉本からだった。画面を見て心臓が飛び出そうになる。


「•••もしもし?」
一呼吸置いてから電話に出た。

「あっ、もしもし?今大丈夫か?」

「大丈夫•••だけど。」

「オッケー。お前がメールがいいって言うならメールでいいんだけど、どうもメールって俺好きじゃなくてさ。電話しちゃった方がって。」

「電話で全然構わないよ。」
(というかむしろ電話の方がいい)

「でも、通話料大丈夫?家電からかけようか?」

「大丈夫だよ。そんな長く話すつもりないし。」
朋美は長く話すつもりないという言葉が少しショックだった。

「で、用は何?」

「わかってるだろ。原因はなんだよ」

「またそれ?っていうかそれ聞く為だけに電話してきたの?」

「そうだよ。何か悪いかよ?」

「悪くはないけどさ。なんでそんなに気になるの?」

「•••秘密」
"秘密"その言葉に朋美はドキっとする。

「そんなことより原因はなんなのか教えろよ」

「ヤダ。教えない」

「ふーん。でもやっぱり原因はあるんだな。嘘つき朋美。」

「だって吉本しつこいんだもん。」

「まぁ、いいや。何かあることはわかったし。じゃあ、そろそろ。いつか原因は何か聞くから。」

「えっ?あっ、うん•••。」
(もう通話終了?)

「じゃあな。」
ブチッ。朋美がじゃあねと言う前に電話が切れた。