「こんにちは!」
後輩達が挨拶をしながら
音楽室に集まる。
3年生の仲間も
続々と集まり、
それぞれ自分の定位置に
着席する。
音楽室のドアが開く。
古びたドアは
ギィギィと音を鳴らす。
「おはようございます」
音楽室に入ってくる
宏子先生に対し、
みんなが少しだるそうに
挨拶をする。
宏子先生が
みんなの前に立ち
新しい先生の事を話す。
「明日から、
新しく音楽の先生が
いらっしゃいます。」
教室がざわめく。
「先生は私と一緒に
吹奏楽部の顧問も
担当して下さる事になり
今日は一足先に
部活に参加して下さいます」
宏子先生がそういうと、
音楽室のドアが開く。
みんなが注目する中、
背の高い細身の男性が
ピアノに向かって
歩いて行く。
黒にうっすら
ストライプの入った
綺麗なスーツを
少しけだるく着こなす
その男性は
宏子先生の横に立ち、
口を開いた。
