危ない危ない。

 間違えて、十六って言いそうになった……。

 この時代って、満何歳という数え方ではなくて、数え年で年齢を数えるから、新年が来るたびに一つ年をとる、という仕組みらしい。

 つまり、現代で十六歳、ちなみに誕生日はいつの間にか迎えられていて十七歳になっていたってことは、私は今、数え年十八歳ってことだ。



 ああ、ややこしい!

 湖子に説明してもらったけれど、イマイチよくわからなくて、とりあえず自分が十八歳ってことだけを叩き込んだのだ。



「そう、ちょうど華の美しい盛りだね」


「……ご冗談を」


「いや、可愛い妹なんだからね、君は」



 そうして、ツツミさんはにっこりと笑った。

 けれど、その目は――笑っていなかった。

 暗い煌めきを宿した、黒曜石のような瞳。

 その目に、ひたと見据えられる。






「……君がどこの誰であったとしても、ね」