陽歌side




ピンポーン…




<はい>



押しなれたインターホンから聞こえてくるのは、私の大好きな人の声。




夏輝の声より少し低い、テノールボイス。





「秋…っ人、私。入って、い?」




でもその声を聞いても私の涙は止まってくれなかった。





それからすぐだった。




マンションの玄関から秋人が顔を出した。






「おいで」




手を広げて秋人は私の前に立つ。




「っぁ…」




その胸の中に飛び込めば、大好きな柑橘系の爽やかな香りが私を包む。