わたしは、何もわかっていなかった。 あの時の、彼の寂しそうな瞳。 首をかしげた仕草。 やっぱり、君は全然わかっていないよ、と。 今なら、彼の呟きが聞こえてきそうなのに。 あんなに、優しくて才能溢れる彼を追いつめてしまった。 絶対に言わせていけないことを、 あの時すでに言わせてしまっていた。 しかも、そのことにすら、わたしは気付いていなかった。