「私は大丈夫よ。 それより、あっち」 「あっち? …あ、凛ちゃん」 佐和さんが指さした方を見れば、寂しそうにひとりで本を読んでいる凛ちゃんがいた。 「そう。みてきてあげて」 佐和さんはふわり、と優しく笑いながらお玉でぐつぐついい始めたカレーをまぜる。 夕御飯のお手伝いは、もう残っていないようだ。 「じゃあ、行ってきますね」 カレーをまぜる佐和さんの後ろ姿に声をかけ、凛ちゃんの元に向かう。 「凛ちゃん」 「…なっちゃん」