BEST FRIEND

男が消えて安心したせいか、ハルは力が抜けてその場に座り込んだ。野次馬達はもういない。
「おい、大丈夫か?」
夏海が肩に手を回し心配してくれる。ハルは何とか笑顔を見せ、
「大丈夫…。それより夏海帰ったんじゃないの?」
「店に携帯忘れたから戻って来たんだ。そしたらハルが絡まれてたから」
「そうなんだ」
夏海が忘れ物するなんて珍しいけど、良かった。
安堵のため息を吐くハルの頭に夏海が手を置いて来た。
「もう大丈夫だよ。ハルは私が守ってやるから」
「うん…」
夏海は不思議だ。
私が困った時はいつも助けてくれるし、さっきまで怖かったのに夏海の手の温もりと言葉で安心してしまう。そして、その笑顔に心が跳ねる。