BEST FRIEND

「離して下さい!」
必死に振りほどこうとするが、男とは力の差が違い離れない。
「楽しい事しようよ」
ニヤニヤしながら男が顔を近付けて来る。酒臭い。
「離して…!」
助けを求めて通行人を見るが、みんな見て見ぬ振りで誰も足を止めてくれない。何で助けてくれないの?
(夏海…)
心の中で助けを求めた瞬間、いきなり男が吹き飛んだ。というより誰かに突き飛ばされ地面に尻餅をつく。
その勢いでハルも転けそうになったが、後ろから支えられ何とか助かった。
「夏海…」
夏海は怖い顔で男を睨み付け、ハルを後ろへと下がらせる。
「私の友達に何してんだよ…」
聞いた事のない低い声。本気で怒ってる。
「てめぇ…」
男も怒りの表情を見せ立ち上がる。