「じゃあまた明日ねー」
「うん。またね」
降りる駅に着いてハルはホームに立ち、二人を見送る。冬馬は手を降ってくれたけど、夏海は窓の外に目を向けたままで、ハルを見てくれなかった。
「怒ったのかな…」
二人が乗った電車を見送り、ハルは一人呟いた。
夏海は最後までハルと目を合わせてくれなかった。あの時すぐに笑って冗談だと言えば良かった。女の子同士でもプリクラとか撮る時にふざけてキスしたりする。
でもキスしてしまった事が自分でも信じられなくて、すぐに対応が出来なかった。
それに夏海が何を考え、ハルの事をどう思っているのか怖くて聞けなかった。
「嫌われたらどうしよう…」
明日夏海は私と目を合わせてくれるだろうか。もし避けられたら私はどうすればいいんだろう。
夏海ごめん。どうか私を嫌いにならないで。
ハルの瞳から自然と涙がこぼれ落ちた。