「…これはアンタに持ってて欲しい」

男の手を取り、無理やり持たせた。

男の手にある、銀のピアス。


その真ん中に、龍の顔が彫られてる。


「じゃあ、また会う時ね」

手を振り、車に向かった。


まさか男が、

「……泣きそうな顔しやがって…」

そんな事を言ってたなんて知る余地もなかった。