「……っ!?」



突然。


私の目の前の壁に黒いもやが現れた。


な、な、なんだっ!?

小さなもやは段々でかくなり、ヒト1人分の大きさにまでなった。



「……ルカっ!?」


そのもやの中から現れたのは、なんと酷いケガを負ったルカだった。


目はうつろで、瞳の色がかすんでいた。


「お、おまえ……
血だらけじゃないか!?
向こうで何があった!!
それもヘイリにやられたのか!?」


「………」



いつもなら『うるさい』とか『黙れ』とか言ってくるのに。


「ルカっ!!!!」


私を見た瞬間、ルカは私の腕に倒れてきた。


ルカの頭からは血が流れている。


洋服の肩の部分は切り刻まれ、血だらけの肌がむき出しになっていた。


「シキーーっ!!」


お腹の底から、シキを呼んだ。


「シキーーっ!!
早く来てっ!!」


じゃないと、ルカが――…

ルカが死んでしまうっ!!