おばあさんは、ガチガチに固まる私に柔らかな笑みを向けた。
「可愛らしいお嬢さんだこと」
ゆったりとしたおばあさんの口調。
とても心が落ち着いた。
「ここへ来て、初めて“可愛い”って言われました」
私もおばあさんへ微笑み、おばあさんのもとへ歩み寄った。
「ルカは口が悪いから、あなたを傷付けているんじゃない?」
「大丈夫ですよ。
真に受けてませんから」
私が言うと、おばあさんはクスっと笑った。
「あの、私、乃滝サラといいます。
あなたは――…」
私がうかがうように顔を覗きこむと
「あの口の悪い息子の母親です」
おばあさんはまた、クスっと笑った。
やっぱり。
ルカのお母さんだ。
それにしても、ちょっとおばあちゃん過ぎない?
腰は丸く曲がっていて、顔も手もシワだらけだった。
私のばあちゃんよりも、おばあちゃんだ。


