「で?」
席に着いた私に、グイっと顔を近づけてくる。
「で? って、なにが?」
「なにが?じゃないよ。
感想は?
か・ん・そ・う」
私は、アハハと苦笑いを向け。
「うん、まぁまぁ面白かったよ」
準備していた言葉を言った。
「どこが?」
「へ?」
「お気に入りのシーンはどこ?」
お、お気に入り?
マジで?
そんなん聞かれるなんて思わなかったぜ……
「え、えーと」
目を泳がせる私に、期待の眼差しを向ける梓。
「あ、あそこかな?
ほらっ、階段で、悪魔が人間にキスするとこ」
私が答えると、梓の目が瞬く間に丸まった。
「サラ、本当に読んだんだ」
「え?」
「なぁんだ、ちゃんと読んでくれたんだぁ」
ニッコリ笑う梓。
私……
どうして……?
「あたしも一緒」
「へっ?」
「サラと同じとこ。
あたしも超お気に入り。めっちゃ胸キュンだよね」
なぜだ……?
このマンガ開いてもいないのに、なぜ、そのシーンが浮かんだんだ?


