「兄上に、ひとつお願いがあります」
ヘイリは眉を上げルカを見た。
「この国は、兄上が治めて下さい」
……え?
「やはり、王に相応しいのは、私ではなく兄上です」
「……ルカ、おまえ」
「兄上なら、今よりももっと良い国にできると思います。
父上には、私から話をしておきます」
ルカはそう言うと、今度は私の方に体を向けた。
ドクン――…
ルカと目が合っただけで、鼓動が高鳴った。
「サラ」
ドックン。
「な、なに?」
緊張のあまり、目が泳いでしまう。
「また、おまえに助けられてしまったな」
「………。
私は、何にもしてないよ」
「いいや。
おまえの力はすごい。そのネックレスに、次から次へと新しい力を与えたのだから」
……私が
この、ネックレスに?
「俺達家族は、本当におまえに救われた」
「……ルカ」
「素晴らしい教育係だったよ」
ルカは、柔らかく笑った。
「サラ」
なに?
そう聞く代わりに、眉を上げる。
「おまえにも、一つ頼みがある?」
「頼み?
私に出来ることだったら、何でもやるぞ」
私が言うと、ルカは今までに見たこともない顔で笑った。
とても、明るく。
とても無邪気に。
「屋敷に戻ったら、おにぎりを作ってくれ」
「ルカ……」
「おまえの握ったおにぎりが食いたい」


