「父上」


みんなの視線が、ルカに向いた。


「母上の墓を作りましょう」


「墓?」


「ずっとこのままというわけにはいかないので、この屋敷の庭に、母上の墓を」


「それはいい案だが、大丈夫か?
少し心配だな。結界の張れる場所にチヅルを置いておきたい気もするが」


「大丈夫ですよ、父上。
私の屋敷です。それに、私にはシキという立派な“友”がいます。
守ってくれるでしょう」


「……ルカ様」


シキの目に涙が浮かんでいる。


「母上の墓の周りには、バラを植えましょう。
母上には、もう寂しい思いはさせたくありません」


ルカ……


ルカの心の美しさに、私まで心が温かくなった。


悪魔だとか、人間だとか。

私達には、差はない。


不器用で、手探りで。

間違いを経験しながら、前に進んでいく。


みんな、同じだ。