ヘイリ目掛け突進し、耳障りな笑い声を上げるヘイリの顔を思い切りぶん殴ってやった。
でも……
私の拳は、ヘイリの体をすり抜けた。
「この野郎っ!!」
二度目も同じ。
どんなに力を入れて殴りつけても、ヘイリは何のダメージも受けていなかった。
……記憶の中。
ヘイリには触れることすらできない。
それでも、何度も何度も拳をぶつけた。
息だけが乱れる。
心だけが汚れる。
私の行動なんて、全く無意味……
「ハハハハハッ!!」
気がつけば、私は元の世界に戻っていた。
椅子に座って私を見上げるヘイリ。
疲れ切った私は、もう、ヘイリに手を上げる気力さえも残っていなかった。
「染まったな」
「………」
「おまえの心、真っ黒だ」


