「よく聞け。
それはひとつしかない。
貴様がどんなに耐えていても、限界というものがくるはずだ。
本当に身に危険が迫った時だけ、それを一気に飲むのだ」


「これを飲んだら、どうなるの」


「そんなことを説明してるヒマはない。
いいか、シキがやったネックレスも絶対に外すな。
その瓶も、肌身離さず持っていろ。わかったな」


「……うん。
わかった……」


「……っ!!
ヤツが来た。貴様に危険が迫れば、そのネックレスが助けてくれるだろう」


「えっ!! ちょっ、ルカっ!!」


ルカはそれだけ言うと、すぐに壁から姿を消した。


手に握る瓶を見る。


これは、一体何なんだろう。

何かの薬?


その時。


ガチャリ。


鉄の扉の鍵が開けられた。


瓶をサッとスカートのポケットに隠す。


扉の隙間から、灯りが漏れてきた。


現れたのは、ヘイリだった。