ルカの声がしたのは、私がいる牢屋の壁からだった。


見上げたその壁には、ルカの顔だけが出ている。


「お、おまえっ!!
もっとまともな登場はできないのかっ!!
こえーよ!! 顔だけ出すな!! 夢に出てくるだろ!!」


私は恐怖のあまり壁に背中をつけ、ルカから遠退いた。


「貴様はどこまでアホなのだ。
まともにここへ来ては、すぐにヤツにバレてしまうだろう」


あ、そうか。


「で、でもっ!!
その登場の仕方はないだろっ!!」


「うるさい。
わーわー騒ぐな。俺はこれを持って来ただけだ」


そう言って壁の中から出てきたのは、ひとつの小さな瓶だった。


両手でそれを受け取り、中を覗き込む。

中には、透明の液体が入っていた。