ハッとベッドを見ると、そこにはもうルカの姿はなかった。
アイツ、どこ行った?
つーか、動けるのか?
私は部屋中をキョロキョロ見回した。
閉め切られた部屋。
窓すら開いていない。
この真冬並の寒さは、一体何なんだっ!!!!
私は両腕をさすりながらルカの部屋を出た。
廊下がかなり温かく感じる。
歩く度に出てくる鼻水。
ズズズっと鼻を鳴らし、咳を連発。
ヤバい……
この寒さで風邪ひいたかも。
けだるい体を引きずりながら、何か薬をもらおうとシキを捜した。
「……っ」
ある部屋の中から、誰かの話し声。
そっとドアから覗いてみると、そこにいたのはルカとシキだった。
「……おまえ、もう起き上がって大丈夫なのか?」
私がドアから声をかけると、ルカは椅子に座り、私を振り返ることなく背中越しにこう言った。
「貴様こそあのまま凍死してしまえばよかったものを」
「………」
はい?
「せっかく眠ったまま苦しむことなくあの世に送ってやろうと思ったのに、俺の好意がだいなしではないか」
ルカはそう言って、テーブルの上のティーカップを手にした。
こ、この野郎……
あの部屋の異常な寒さは、おまえのしわざだったのかっ!!!
人がせっかく心配してみててやったのに……
おまえこそ人の好意をだいなしにしてんじゃねーよっ!!!!
おまえなんか、もっとヘイリにけちょんけちょんにやられてしまえばいいんだ。
ボロボロになって帰ってきたおまえを、今度は足蹴にしてやる。


