この店、「キャンディ・メモリア」に来る人たちには、自らの過去の記憶がない。 いわゆる、記憶喪失者。 けれど、それだからといって客の全員が全ての記憶を失っているというわけではない。 自分のことは覚えているけれど、両親や、恋人のことを忘れてしまう。 もちろん、逆もまた然り、だ。 こういうところは、人によって様々だった。