「なーにニヤけてるんだよ」



すぐさまアルトはダグに突っかかる。


妹のように可愛がっているリリィにそんな視線を送られて、アルトが黙っているはずがない。



立ち働くリリィの姿が見えないよう、アルトがダグの前に腰かけ、話を促した。




「さて、今日はどんな御用で?」



「あっ、てめーリリィちゃんが見えねーじゃねえか!ったくよぉ。それに、この店に来る用事っつったら1つしかねーだろ」




それもそうだ。アルトは思った。



この店を訪れる人なんて、ごく限られている。


それに、普通じゃない人、と言えば聞こえは良くないが、実際にそうなのだ。