My Romeo & Your Juliet 【完】

「離してください!」

公園のベンチの前で、やっと解放された。

さすが田舎のさびれた公園…

まだ昼間なのに、人の姿は見えない。

あたしたち以外の生き物は、
緑の中を飛び回る鳥と虫ぐらいだ。



「とりあえず、座れよ」

先輩は小さなベンチを指差して、自販機に向かう。

「お前もなんか飲む?」

「いえ…」

両手で鞄を抱えて、突っ立てるあたし。

「あっそ…」

先輩はガタンと転がってきたジュースを取り出してベンチに座る。

あたしは先輩からめいっぱい距離をとって、ベンチの端っこに座った。

「なんで、そんなに離れてんだよ。もっとこっち来たら?」

先輩は不自然な距離をとるあたしを冷たい目で見る。