「…やっぱ何かあった?」

「…何で?」

答えにくくて、思わず質問に質問で返してしまう。

「何となく…
何かあったなら言って?」


話すべきなんだろうか…
裕子さんのことや、誠さんのこと。そして自分の気持ち。


「…リビングで話そう」

俯きながらポツリと言うと教授は靴を脱いで2人でリビングへ。

いつもなら移動してるときもイチャイチャしてるのに、今日はとてつもなく気まずい。


というか…
何となく教授に対しての自分の態度が冷たいような気がする。


本当だめだなぁ…


「どうした?」


あぁ…
話したくない。
裕子さんのことも誠さんのことも。

別れたくなんかない。

嫌われちゃうかもしれない。

軽蔑されちゃうかもしれない。

やだ。やだ。

話したくない…。


「……」

「……」


気まずい。


重たい空気が流れる。


「…麻柚?」


この沈黙を破ったのは教授だった。



…ふぅ。



話さなきゃ。


心の中で静かに気合いを入れた。