…そして逃げること十数分。

構内に入り、どっかの部屋に逃げ込んだ。


「…撒いたみてぇ」


物陰からこそっと外の様子を伺った薫がため息を吐きながら呟いた。


「…本っ当すんごいわねあなた」


三納がしみじみと言う。


「いい迷惑だ」


吐き捨てるように返し、立ち上がる。


「龍樹? ちょ、おまっどこ行くの」


「帰る」


「帰るっておいおいおい」


薫に続き、誰だったかあの……あいつ。

なんとか武人。

…あいつまで俺の前に回る。


「んだよ。邪魔」


「だって今出たら…」


「……」


こいつらの言うことも一理あるため、素直に踵を返す。

そしてそのまままっすぐ…。


「…へ?」


「は?」


「なっ?」