俺様狼と子猫少女の秘密の時間③


それから何度も聞いたけど、頑なに教えてはくれなかった。


「それより…悪かった」


「え?」


悪かった……って、謝ったの?

え? 先輩が?

えええ!? な、なんでなんで?

あの先輩が謝った!?


「…お前な」


「あ」


はたと動きを止め、口元に手をやった。


「せっかく…ここまで来たのに」


「あ…」


そっか…。そういえばデートの予定だったんだ。


先輩が疲れすぎちゃった上に、出来立てのファンや元来からのファンがぞっくぞくと追いかけてきてそれどころじゃなくなったのだ。

それでそそくさと逃げ帰るように先輩の家に戻ってきたわけ。


「…会えただけで嬉しいし、先輩のかっこいい姿も見れたもん」


…それでいーんだ。

今だって、「エネルギー補給」と言ってあたしを後ろから抱きかかえてる。

こうしてそばにいられる。

それだけであたし幸せだもん。