「う~ん♪水も滴るいい男♪」
そんなことを言いながら、ひたすらにシャッターを切り続ける無精髭の五十代くらいの男の人。
なんだか輝いて見えて、先輩とは違うかっこよさを垣間見た気がした。
――数時間後。
「ハァ……」
相ッッッ当疲れた様子の先輩が、あたしを覆うように抱きしめて大きくため息を吐いている。
撮影は思いのほか長引き、そのあとはファンになったという女の子たちにどわっと囲まれて…。
色んな意味で限界みたい。
「お疲れー先輩…だいじょうぶ?」
「ぜんっぜん」
あはは…。
で、でもぼったくりかってほどもらったんだし…ね…。
文句、言えないよね。
女の子たちはあの人の責任じゃないし。
「…ねー先輩。あのときなに言われたの?」
「あのとき?」
「うん。なにか言われて…それで引き受けたでしょ」
この人を動かしてしまうなんて一体何を言ったんだろう?
今後の参考にした…い、いや。ごほんおほん。

