上の服を衣装にかえて、髪の毛をちょちょいのちょいってつつかれただけ。
ただそれだけなのに、いつもの数倍かっこいい。
結構ラフな感じのアウターで…だけどなんだかせくすぃーに着こなしている。
前髪が目にかかってて、合間から覗く漆黒の瞳がたまんない…❤
目をハートにして見惚れていた。その瞬間だった。
―どばしゃんっ
「……」
「……」
「……」
先輩やあたしはもちろんのこと、ざわつきながら見ていたギャラリーでさえしんとなって固まった。
「…なにしやがんだてめぇ」
先輩のひっくぅーい声が、撮影場所である広場に響いた。
「なにって、色っぽさを引き出すにはコレが一番手っ取り早いのヨ」
ぱちんと茶目っ気たっぷり(のつもりらしい)にウィンクをしてみせるカメラマンさん。
何の前触れもなく頭っから水をかぶせるというあまりに突拍子も常識もないその行為に、なんの躊躇も罪悪感もないらしい。
大きくため息をつきながら、先輩は、濡れて額に張り付いた前髪をかきあげた。
「きゃああーーーっっ❤❤」
キャーーーーーッッッ❤❤❤
すてきすてき! たしかに色っぽい!

