――龍樹サイド――
「はわ~……」
見るのは三度目だというのに、無駄にでかい家を見て感嘆のため息(に聞こえないけど)を漏らす悠由。
引っ越しを手伝ってくれた時最初に見たわけだけど、その時の第一声が。
「……先輩かわいそう」
…なぜか俺を憐れむもの。
あとで理由を聞けば「広くてさみしそうだから」だそうだ。
「さみしくないの?」
「全然」
それにうざいくらいに薫が押し掛けてくるしな…。
たぶん、あいつ一人暮らし初めてだし自分が寂しいんだろ。
「そうなんだぁ…。先輩大人だね」
「そういう問題か?」
首を傾げながら持っていた悠由の荷物を下ろした。
「…せんぱいっ」
「ん?」
後ろから弾んだ声がかかり振り返ると、嬉しそうに悠由が飛びついてきた。
「会いたかったよ…」