『なにしてたの』
いつもなら先輩の電話とあらば何もかも放り出して飛びつくあたし。
だから大抵二コールくらいすれば出てたわけで…。
当然そう聞きますよね。
「杏子と美紅ちゃんが来ててね? ちょうど帰るとこだったの」
『もう少しあとにすればよかった?』
その言葉に思わず思いっきり首を振ってしまう。
先輩には見えてないのに。
「ううう、ううん、ううん」
慌てて否定するあたしをまるで見ているかのように笑う先輩。
『なぁ。明後日…来れる?』
ひとしきり笑ったあと、今思い立ったようにそう言う。
その一言に無意識に顔が綻んだ。
会いに行っていい?
行っていいのっ?
もう三週間ぶりになる。
約一か月ぶりだ。
「いっ……いいの?」
『俺はいつでも』
……いいんだ……❤
「行くっっ❤❤」
飛びつくように答えた。