そう思って追い出そうとすると。


「あーそれが鍵なくしちゃってさ。作ってもらってるとこなの。泊めて♪」


「……女のとこにでも転がりこめや」


腹の立つ野郎だな…。

あーもう…。

なんでこんなやつのために悠由にこれ以上寂しい思いさせなきゃなんねんだよ。





引っ越し当日…。

「いってらっしゃい」と言った悠由の目は潤みまくっていた。

今にも泣きそうな顔で俺を見上げるあいつを見て思わず躊躇ったくらいだ。



「ハァ…ったく」


ため息をこぼして、携帯を片手に家を出た。

同じ屋根の下じゃどっから聞いてるか分かったもんじゃない。


時間的にも、もう帰ってる頃だろう。

いつか…言っていた。


「電話が鳴るまで携帯とにらめっこです」


別にかけてきてもいいのにと思うのだが、なぜかそこまで頭が回らないらしい。

まあ、それならそれでいいわけだけど。


悠由の姿を思い浮かべながら、携帯を耳にあてた。